ファクタリング会計処理と仕訳7例|相談500件で見た実務2026

ファクタリングの会計処理・仕訳を正しく理解せずに記帳すると、決算時に税理士から指摘を受け、修正対応に余計な時間とコストがかかります。私はAFP・宅地建物取引士として総合保険代理店時代に中小経営者の資金繰り相談を500件以上担当してきました。この記事では、2社間・3社間ファクタリングの仕訳7例を実務ベースで整理し、売掛金譲渡損や消費税処理の論点まで丁寧に解説します。

ファクタリング会計処理の基本3原則

売掛金の「譲渡」として処理する原則

ファクタリングは、会計上「売掛金をファクタリング会社に譲渡する取引」として処理するのが原則です。金融機関からの借入とは性質が異なるため、貸借対照表上の「借入金」として計上するのは誤りです。

国税庁の見解および会計実務では、ファクタリングによる資金調達は「資産の売却」として扱われます。したがって、売掛金が帳簿から消え、その対価として現金が入ってくる、という処理の流れが基本になります。

ただし、償還請求権(リコース)の有無によって処理方法が変わることがあります。償還請求権ありの場合は「借入処理」が適切とされるケースもあるため、自社の契約内容を確認した上で、担当税理士に相談することを強く推奨します。

手数料は「売掛金譲渡損」として費用計上する原則

ファクタリングを利用すると、ファクタリング会社は売掛金額面から手数料を差し引いた金額を振り込んできます。この差額が「売掛金譲渡損」として費用に計上される部分です。

たとえば、額面100万円の売掛金を92万円で譲渡した場合、差額の8万円が売掛金譲渡損になります。この費用は、法人であれば損金算入が可能であり、個人事業主であれば必要経費として処理できます(個別の適用は税理士または所轄税務署にご確認ください)。

売掛金譲渡損の勘定科目は「売上債権売却損」「手形売却損」と並ぶ概念ですが、現代のファクタリング実務では「売掛金譲渡損」または「売上債権譲渡損」として処理する会社が多い印象です。

私が実務で見てきた会計処理の落とし穴

保険代理店時代に見た「借入金計上ミス」の実態

総合保険代理店に在籍していた時代、私は個人事業主や中小経営者の資金繰り相談を多数担当しました。その中で繰り返し目にしたのが、ファクタリングで受け取った資金を「短期借入金」として計上してしまうミスです。

あるEC事業を営む経営者は、初めてファクタリングを利用した際に「お金を借りた」感覚で短期借入金に計上し、決算期に税理士から全面的な修正を求められました。修正作業の顧問料外費用として、スポット対応で3〜5万円程度の追加請求が発生したと話していました。記帳ミスは後から直せますが、そのコストは馬鹿になりません。

2026年に自身の法人を設立してからは、私自身もこの問題をより身近に感じています。顧問税理士との初回面談で「ファクタリングを使う可能性がある」と事前に伝え、仕訳のルールを明確にしておくことの重要性を実感しました。

「未収入金」を使うべき場面を見誤るリスク

3社間ファクタリングでは、売掛先企業(取引先)がファクタリング会社に直接支払いをする仕組みのため、自社の帳簿に「未収入金」が一時的に登場するケースがあります。

具体的には、ファクタリング会社への売掛金譲渡後、取引先からの入金が完了するまでの間に「未収入金」を計上する処理が発生します。この未収入金と通常の売掛金を混同すると、売掛金残高が二重計上される恐れがあります。

私が相談を受けた飲食店オーナーは、3社間ファクタリングを利用した際に未収入金の処理を誤り、試算表上の売掛金残高が実態より100万円以上多く見える状態になっていました。金融機関への融資審査書類に影響が出かねない事態でした。未収入金の扱いは、必ず税理士とともに処理フローを確認することを推奨します。

2社間ファクタリングの仕訳例3パターン

基本パターン:売掛金譲渡から入金まで

2社間ファクタリングは、自社とファクタリング会社の2者間で完結する取引です。取引先には通知が行かないため、スピーディーな資金化が可能な反面、手数料が高めになる傾向があります。

仕訳の基本パターンは以下の流れになります。

  • 【売掛金譲渡時】普通預金 920,000円 / 売掛金 1,000,000円 の差額として、売掛金譲渡損 80,000円を借方に計上
  • 【取引先から自社への入金時】普通預金 1,000,000円 / 預り金(または未払金)1,000,000円 として一旦受け取る
  • 【ファクタリング会社への送金時】預り金 1,000,000円 / 普通預金 1,000,000円

2社間では取引先が直接ファクタリング会社に払わないため、いったん自社が受け取り、ファクタリング会社に送金する流れになります。この中間段階で「預り金」勘定を使うのが実務上よく見られる処理です。2社間ファクタリング手数料相場|500件相談で見た7社比較

手数料が複数段階になるケースの仕訳

2社間ファクタリングでは、契約時に「基本手数料」と「管理手数料」が別建てになっているケースがあります。たとえば、基本手数料5%・管理手数料1%のように分かれている場合、費用計上のタイミングを整理する必要があります。

この場合、契約締結時に基本手数料分を売掛金譲渡損として計上し、管理手数料は実際の請求タイミングで「支払手数料」として処理するケースと、一括で売掛金譲渡損にまとめるケースがあります。どちらが適切かは契約内容と会計方針によって異なるため、顧問税理士と事前に方針を決めておくことが重要です。

3社間ファクタリングの仕訳例4パターン

取引先通知後の売掛金消込処理

3社間ファクタリングは、取引先にファクタリングの利用を通知した上で、取引先がファクタリング会社に直接支払いを行う仕組みです。2社間と比べて手数料が低めに設定されることが多い点が特徴です。

仕訳の核心は「売掛金をファクタリング会社への未収入金に振り替える」ステップです。

  • 【譲渡通知・契約締結時】未収入金 920,000円・売掛金譲渡損 80,000円 / 売掛金 1,000,000円
  • 【ファクタリング会社から入金時】普通預金 920,000円 / 未収入金 920,000円

この処理では「未収入金」が登場し、入金完了で消込が完了します。売掛金は譲渡時点で帳簿から外れるため、残高管理が明確になるのが3社間の利点です。

分割入金・一部先行入金がある場合の仕訳

実務では、ファクタリング会社が売掛金の80〜90%を先行入金し、残額を取引先の支払い確認後に精算するケースもあります。この「2段階入金」では仕訳が2回に分かれます。

先行入金時には受け取った金額分だけ普通預金と未収入金を消込み、残額部分の未収入金は引き続き残す処理になります。精算入金時に残りの未収入金を消込む流れです。この処理を誤ると期末の未収入金残高が合わなくなるため、入金日と金額の記録を丁寧に管理することが求められます。2社間ファクタリング手数料相場|相談500件で見た実額帯2026

消費税処理と税務上の注意点・まとめ

ファクタリング手数料の消費税取扱い:非課税が原則

ファクタリング手数料の消費税処理は、多くの経営者が誤解しているポイントです。売掛金の譲渡取引そのものは、消費税法上「金銭債権の譲渡」として非課税取引に分類されます。したがって、ファクタリング手数料に消費税は原則として課されません。

これは消費税法第6条および別表第二に規定される「有価証券等の譲渡」「金銭債権の譲渡」が非課税とされる考え方に基づいています。消費税の仕入税額控除の観点では、手数料部分は非課税対応課税仕入れになるため、課税売上割合が高い事業者でも特段の控除制限を受けないのが通常です。

ただし、ファクタリング会社が別途提供するコンサルティング料や事務手数料が課税取引として請求されるケースもあります。請求書の内訳を必ず確認し、消費税の課否を科目ごとに判断する習慣をつけてください。消費税の最終判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。

2026年現在の実務まとめとファクタリング活用への第一歩

  • ファクタリングは「売掛金の譲渡」であり、借入金ではない。償還請求権の有無で処理方法が変わる場合があるため、契約書を確認すること
  • 手数料の差額は「売掛金譲渡損(売上債権譲渡損)」として費用計上するのが基本
  • 2社間では取引先からの入金を「預り金」で処理するステップが発生する
  • 3社間では「未収入金」勘定を適切に使い、売掛金の二重計上を防ぐ
  • ファクタリング手数料は消費税法上、原則として非課税取引に該当する
  • 仕訳ルールは顧問税理士と事前に確認しておくと、決算修正コストを減らせる
  • 個別の税務判断は必ず担当税理士または所轄税務署に相談すること

私自身、法人経営を始めてから会計処理の正確さがキャッシュフロー管理の土台になると実感しています。ファクタリングは正しく処理すれば強力な資金調達ツールです。まず信頼できるファクタリング会社を選ぶことが、会計処理を複雑にしない第一歩でもあります。

以下のリンクから、資金繰り改善に活用できるファクタリングサービスの詳細を確認できます。条件の整理や比較検討の参考にしてください。なお、個別の事情により最適なサービスは異なります。最終的な判断は専門家の意見も踏まえてご自身でご判断ください。

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筆者:Christopher/AFP・宅地建物取引士。2026年に自身の法人を設立し、税理士選び・顧問契約・決算までの実務を自ら経験。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、個人事業主・富裕層・経営者の保険×税務相談を多数担当。現在は都内法人を経営・インバウンド民泊事業を運営中。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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